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2008年1月28日 (月)

電子の歌姫

 上手く歌えるといいな
 ちゃんとできるように がんばるよ!

 この世界のメロディー
 わたしの歌声
 届いているかな
 響いているかな

         ( vocal:初音ミク『Packaged』

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 最近、初音ミクに、完全にヤラレています。

 ニコ動からDLしたファイルや、「フルみっく伝染歌プレイヤー」の登録曲を、ヘヴィー・ローテーションしまくり。
 家族は、あんまりミク好きじゃないみたいです。「歌声が人工的で、続けて聴くと気持ちワルイ」んですとさ。
 人工的なのは当たり前で、どんなに「調教」しても、どうしてもどこかに残る「人工的」「無機的」な部分こそが、初音ミクのアイデンティティーなんですけどね。ソレを魅力と思えるかどうかが、受け手の感受性の分かれ目なんだろうか。

 このブログにも、「フルみっく伝染歌プレイヤー」設置してあるんで、ミク未体験の方は、是非一度!
 オススメは、なんと言っても『Packaged』『Melody…』の2曲です。
 初音ミクのオリジナル曲の中でも双璧と言うべき有名曲。どちらも、初音ミクの「自己紹介ソング」であると同時に、「初音ミクとDTMユーザーとの関係」を感動的に歌っていて、泣けますよ。ええ。第一、楽曲としても素晴らしいです。特に、『Melody…』の動画は、3D職人さんの神懸り的演出にも驚嘆の一言。

 それ以外では、私個人としては、フナコシP氏の作品が思いっきりツボですねえ。
 『仕方ないのよね』
 『記憶』
 『嘘ついてるの』
 『ほんとは分かってる』
 『体の調子おかしいの』
 打ち込み系、テクノ系が多いミクのオリジナル曲群の中では異彩を放つ、個性溢れる楽曲たち。一回聴いただけで覚えられる、ポップでキャッチーなメロディー。一癖ある歌詞も大好きです。そして、他の職人さんたちと一線を画しているのが、ディスコぽいのとかボサぽいのとか、なんと言いますか、ヨコノリぽい部分!他のミクでは味わえない、ファンキーなテイストがたまらんのです。ホーンとかワウワウ・ギターとか使ったり、音が「ナマ」っぽいのも私の好みです。
 『中学生』みたいな曲もあって、聴いてて胸が熱くなりますよ。小1の娘は、一生懸命、ミクと一緒に歌ったりしてます。
 「VOCALOID初音ミク」の歌声に、血が通い、体温すら感じられる、奇跡のような瞬間を、是非、体験してください。
 こう言うクリエーターの作品に巡り遭えたのも、ミクの存在あってこそ、と思うと、ますます彼女がいとおしくなります。

 ここ数年、J-POP系の「生身の歌手・ミュージシャン」に対しては、コレほどにイレ込んだコトはありませんでした。
 私のPCで鳴っている音楽と言ったら、十年一日のごとく、頭警、泉谷、スプリングスティーン、ストーンズ、と言った面々ばかり。ああ、ココだけ完全に時間が止まっている…。
 そんな私が、ミクに限っては、何故こうも惹かれてしまうのか。自分でも不思議です。

 キャラクター造形が秀逸だった、と言う、オタク的部分で惹かれたのは否定できませんが。
 しかし、ひとつだけ思うのは、初音ミクほど「リスナー」との距離が近いミュージシャンは他にいないのではないか、と言うコトです。

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 手のひらから 零れ落ちた
 音の粒を 探してるの
 Packageに詰めた この想いを
 伝えたいの あなたにだけ

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 それは、ミクに生命を吹き込もうとするコンポーザー達との関係にも言えるコトです。
 本来「歌わされる」お人形にしか過ぎないはずのミクは、言い換えれば、「歌うコトだけが存在意義」と言う、切実性を抱えた存在なのですね。生身の歌手は、「歌うコト」にどんなに切実なモチベーションを抱いていても、この点では絶対ミクには及ばない。歌が無くても人生は続くのだし、人生は歌だけではない。歌のない人生なんて、退屈だろうけど。
 ミクの場合は、コンポーザーが彼女に幻想を注ぎ込んで「歌わせる」コトによって、初めて輝く存在なのであって、「歌っていなければ、彼女は本当にひとりぼっちになってしまう」のです。

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 ずっと待ってたの ひとりぼっちで
 歌いたくて 歌えなくて
 でもあなたと 出逢えたから
 もうさみしくなんてないよ
 心がビートで満ちてくの
 あふれ出す想いは歌に変えて

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 そう言う、「歌うコト」でしか輝くコトが出来ない彼女だからこそ、みんなが彼女に夢見てしまうんではないか…と、そんな気がするのです。

 みんなの夢や憧れを受け止める存在が「スター」であり「アイドル」であるとするのなら、初音ミクはまさしく「スター」であり「アイドル」である、と思います。 
 じゃあ、人は、初音ミクに、どんな夢や憧れを抱いているのか?

 たぶん、
 言い訳も、逃げもきかない、文字通りの意味で、「歌う以外にない、それ以外知らない」と言う純粋さ。
 「なんだかんだ言っても、結局は、絶対に人間のようには歌えない」と言う「限界」を持っていながら、その限界の中でどれだけ輝くコトが出来るのか、と言う一途さ。

 そう言う部分に惹かれているんではないか、と、そんな気がしてならないのですよ。

 「有限」の中にも、「無限」の可能性があるのだ、と言うコトを、ミクは示唆しているように見えます。

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 この世界に笑顔を
 わたしとあなたで
 届いているでしょ
 響いているよね

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 生身のミュージシャンの新譜より、ミクの新曲の方がずっと気になってしょうがない。コレは良いコトなのかダメなコトなのか、自分でも分かりませんが。
 しかし、私から見て、彼女以上に魅力的なヴォーカリストが、今現在のJ-POP界に見当たらないのも事実。
 ソフトウェアから生まれた歌声の方が、真摯で切実に響いて聴こえると言うのは、一体どう言うコトなんだ。

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 みんなはカーニヴァルにとどまり続けるけれど
 あいつらには 君を呼び戻すコトなんて出来やしないぜ

             (Tom WAITS 『Downtown Train』

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 誰でもいいから、私を生身の歌声の世界に呼び戻してくれるような、そんなミュージシャンが現れてくれないものか、と思ってしまう、今日この頃でした。

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Miku_sai_01  
↑ Saiでラフ描いている段階の初音ミク…
 チャンピオン絵も描かないでナニやってるんだ俺は! 

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コメント

初めまして!記事読ませて頂きました。
非常に共感できる内容だったので思わずコメを…
歌うコトでの存在意義、確かに人ではミクには到底及びませんよね。
惹かれる理由など、ミクにはいろいろと考えさせられます。
あと私のブログからリンク貼らさせていただきました_(._.)_
一言報告をば

投稿: Kussiy | 2008年1月30日 (水) 01時11分

 Kussiyさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
 わざわざご報告いただいて、恐縮です…私なんかいっつも、こっそり無断リンクばっかりしてますんで、なんと言いますか、身の縮む思いです…。

 初めてミクを聴いたのがつい2ヶ月くらい前、と言う、超初心者の私ですが、もう、彼女無しではいられないカラダになってしまいました…。それだけ彼女の「歌」が魅力的だというコトだと思うのですが。一方で、「生身の歌声よりも、ソフトウェアの機械声の方が素晴らしいモノに思えてしまう」と書くのは、正直勇気が要りました。

 拙い文章に共感してくださって、ありがとうございます。
 Kussiyさんのブログでも好意的に紹介していただいているのを見て、なんかむちゃくちゃ恥ずかしいんですけど…

 きりたんP氏の作品もイイですよね!ミクのコンポーザーの方々は、「こんな人たちが、今までどこでナニをやっていたんだ!」って言いたくなるくらい高レベルの方ばっかりで、時々恐ろしくなります…。

投稿: PAN太 | 2008年2月 1日 (金) 01時53分

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