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2008年3月 7日 (金)

北風と太陽

 あの夏 僕は彷徨える旅人
 取り囲むのは 夏なのに北風
 登る階段が消えかかった時
 心のコートを剥ぎ取ってくれたのは
 君の…君の…太陽だったんだ

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 朝の通勤電車の中で、チャンピオン14号を読みながら、不覚にも泣いてしまいました。

 『フルセット!』第42セット「みんなの歌」。

 あの唯我独尊キャラの会田くんが歌う、チームメイトみんなの歌。
 生まれ変わった火野の姿に震える母。

 今日一日、思い出すたびに、泣けてしまってしかたがなかった。
 取材先に向かって車を走らせている時も、油断すると涙がこぼれてしまう。
 大の大人が、読み捨てにされる週刊マンガ雑誌に泣かされてどうするよ、と笑われるかもしれない。
 しかし、どうしても言わずにはいられない。
 今週号の『フルセット!』を、私は一生忘れるコトは出来ないだろう。

 「誰かに必要とされる存在になりたい」と願いながら、変われないままでいた火野。
 その想いは、言い換えれば、「友達がほしい」と言う渇望に行き着くのではないか。
 愛されないというコトは、つらい。 
 必要とされたい。
 認められたい。
 友達がほしい。
 そんな火野が、今週号のような「場所」にたどり着けるなんて、連載初期には想像できなかった。

 火野の想いが会田を動かし、会田がさらに火野を変えていき、息苦しかった世界を切り拓いて行く。
 こんな気持ちが、こんな熱が自分達の中にもあったと言うコトに驚きながら、周りのみんなも変わっていく。
 いつの間にか、火野がみんなを、みんなが火野を、こんな明るい場所まで連れ出して来ていた。
 
 いや、もう、気の利いたコト言えませんが、
 「もう火野はひとりぼっちじゃないんだ」と思うと、ソレだけで泣けてくる。

 マンガ家と言う人種は、魔法を使える人たちだと思う。
 私達の心をいっとき奪い、時には、一生忘れられない記憶を刻みつける。
 決して「消費」されるコトのない感動を残して、そして、私達に、「昨日までの自分のままでいるコト」を決して許してくれない魔法だ。
 最近は「魔法使い」ではなく、「手品師」レベルのマンガ家の方が多い、と思われる向きもあるかもしれないが。
 梅田阿比先生は、間違いなく、本物の魔法使いである。
 それも、新人でありながら、極上の。

 次号、『フルセット!』最終回。
 不本意な形での終了のはずなのに、作品のテンションは落ちるどころか、ココへ来てますます豊穣な感動をたたえている。
 「良質」だの「完成度」だのと言った表現では到底追いつかない、梅田阿比と言う名の「少年マンガの未来」の初連載の結末を、私達はどうやって受け止められるだろう。
 ただひとつわかるコトは、

 また絶対泣かされてしまいます。私。

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 さあ 旅を続けよう
 あの夏と君がくれた道標
 僕は変わったんだ 変われたんだ
 伝えたい
 今は何処にいるのか
 太陽の君 僕の北風へ
            (Yellow Generation/『北風と太陽』)

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コメント

PAN太さん

フルセット!第42話の記事をアップしました。
PAN太さんが泣くほど感動した第42話をまた懲りずにエロスの視点からレビューしてしまった不義をお詫びします。
ブログでは、いつもの感じで書きましたが、俺も深い感動と興奮の真っ最中におります。

梅田阿比の未来=少年漫画の未来

PAN太さんのご指摘に俺も賛同いたします。

最終回を読んだあと、梅田阿比作家論と題して、フルセットはじめ幽刻幻談、人形師いろはも含め、多角的な方向で、作家論を書きたいと考えています。

投稿: 人面犬 | 2008年3月 7日 (金) 22時07分

 人面犬さん

 「感動しました、泣けました」とか書いちゃうと、なんか安っすい映画のCMみたいでアレなんですが、「クルル曹長」の異名をとる私が泣かされちゃったんデスカラ、どんだけスゴイんだ『フルセット!』。と言う話です。
 私が他誌の編集長だったら、絶対梅田先生を引き抜きにかかりますよ。大丈夫か秋田書店!

 「梅田阿比作家論」…おお、絶対読みたいです!そう言うふうに語られるに値する、数少ないマンガ家さんですよね、梅田先生は!『いろは』まで含めると、エロス成分ますます濃ゆい目な内容になりそうな予感がしますが…期待してます!

投稿: PAN太 | 2008年3月 9日 (日) 10時18分

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