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2008年5月31日 (土)

『PUNISHER』第16話感想

 迷った時には、第1話から読み返せ。

 コレも、PUNI者ERの基本である。

 第1話から、アルトとミルキィが太陽の下で手を握り合って、「二人の旅」が始まるまでの「序章」部分は、何回読み返しても圧巻である。
 これからこの魅力的な二人の冒険が始まるのだ、という期待感に、私だけではなく、すべての読者が胸を高鳴らせていたはずだ。

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 ぼくは彼女と約束したんだ
 きみの輝きで ぼくを夢中にさせておくれよ
 ぼくには これからやらなきゃならない計画がどっさりあるんだ

 見つけたよ
 これがそう
 めぐりあえた
 これがそう これがそれなんだ 
 彼女のことをずっと待っていたものは
  (『This Is The One』/THE STONE ROSES)

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 コレから、新しい「なにか」が始まる、と言う、あの高揚感。
 チャンピオンファンの期待を一身に受けて、いよいよドライブしようとしていた『PUNISHER』…のはずだった…のに…。

 ルウォール編が話数を重ねるにつれて、一部のチャンピオン系サイト・ブログの中での『PUNISHER』の評価は、次第に微妙なモノになっていく。

 ココで、全パ連会員の一人として、また、極右セクト「革パニ派」代表として、改めて、ルウォール編の流れを冷静に見つめ直してみたい。

  水の都ルウォールに辿りついたアルトとミルキィ。
 →①アルトを追いかける昔馴染みのカッツの登場。
 →②水入りをはさみながらの、アルトとカッツの戦い。
 →③スキ様と三人の出会い。

 思いっきり整理すると、以上のようになる。
 この間に、ミルキィの過去の一端を暗示させるエピソードや、『PUNISHER』の世界観の根幹にかかわるであろう、「死神の壁画」が登場したりもしているが、①から②は、③の「スキ様の目の前に、アルとたち3人を連れてくるため」に、どうしても必要な流れだったと言える。
 今まで何の接点も無かった、「無名の存在のアルトたち」と「王女にして『八戦聖』、この世界の核心に近い場所にいるスキ様」とを結びつけるために。
 たとえばウォーゼルが、この両者の邂逅を仲介してあげれば、今までのルウォール編のエピソードの中で、かなり「省略」出来た部分もあったかもしれない。
 カッツというキャラクターの紹介、ミルキィの過去、「死神の壁画」、スキ様との邂逅。これらは、物知りでおしゃべりな解説役がでしゃばってくれれば、もっと手際よく「消化」されたかもしれない。しかし、佐渡川先生は、地図も羅針盤もガイド役も抜きで、これらのエピソードを紹介する展開を選択した。
 佐渡川先生は、便利なガイド役や、重宝なナレーションで、主人公たちをお手軽に「世界の核心」に連れて行く、と言う、「横着な手法」を今まで拒否してきたように私には感じられる。

 第1話の、それも巻頭1ページ目、将来のアルトとミルキィの波乱万丈の旅を暗示するカットの中に、今週号、第16話で初めて顔を見せるウォーゼル…じゃなかった、超人ワンダーのシルエットが、すでに登場している。
 佐渡川先生が、『PUNISHER』の連載当初から、この物語のかなり先までを構想し、準備していた事が伺える、ひとつの証拠である。
 今回、誰もが度肝を抜かれたであろう超人ワンダーの登場は、予定通りの出来事だったのだ。

 今、私は、大笑いしつつ、なぜか安心している。
 今まで私は、『PUNISHER』と言う作品を、誤解していたのだろう。
 コメディ的要素を持ちながらも、「ヒロイック・ファンタジー」として、根底にはシリアスな世界観を持った作品。
 それは確かにそのとおりである。第1話を読んだ時以来のその印象は、間違ってはいない。
 『PUNISHER』と言う作品は、その上に、前作『無敵看板娘』で遺憾無く発揮されたギャグのセンスをも、遠慮無く盛り込もうとしている。
 そう。遠慮する必要はどこにも無い。

 「ヒロイック・ファンタジーで、コレはないだろう」と言う意見がもしあるのなら、私はこう返したい。
 「今まではなかったかも知らんが、『PUNISHER』以後は、ソレもアリになるんだよ」と。

 「ヒョウタンツギ」や「手塚キャラ・スターシステム」も含めて、『ブラックジャック』と言う作品の世界観が形づくられていたように、超人ワンダーも、『PUNISHER』と言う作品の世界観のなにがしかを構成していく一要素なのだから。

 個人的な予想では、このウォーゼル…もとい、超人ワンダーは、今後、鞍馬天狗のように、要所要所でアルトたちの窮地に登場し、膠着状態を打開する「スーパーサブ」的なキャラクターとして活躍していくのではないか…そんな気がする。
 周りにツッコまれながらも、高笑いとともに軽々と主人公たちのピンチを救い、ソレでいて、蔭では思慮深い横顔も垣間見せる…言ってみれば、ジョーカーのような存在。
 彼には、キャラクター間の齟齬や対立を緩衝する、接着剤のような役割も期待出来そうな気がする。現に、彼のおかげでカッツはスキ様の天神力から解放され、スキ様も「機知とユーモアを理解出来る」一面を見せるコトが出来たし。
 さらに言えば、ウォーゼルには、『PUNISHER』世界の謎や伏線を、作中でおいおい解きほぐしてもらうという、重要な使命を期待したい。今までガイド役が不在だった『PUNISHER』世界において、得がたい存在になるのではないか。

 目的地は、はじめからすでに用意されている。
 遠回りに見えても、アルトたちは、確実に「世界の核心」に少しずつ近づきつつある。
 何度も言うが、焦る必要はどこにも無い。 

 まだ先行きは全く読めず、アルトと「少女」の物語は、今始まったばかりですが、チャーミングで、シリアスな輝きに溢れた作品になるはずだ、と信じています。

 『PUNISHER』第1話を読んだ後に、私自身が書いた感想である。
 この感慨は、今でも揺るぎないが、「チャーミングで、シリアスな輝きに溢れた」、その後に、今、付け加えなければならない言葉がある。
 「そして、笑えて、私たちが窮屈にも思い込んでいるよりも、もっとずっと自由な世界観を用意している」作品だ、と言うコトだ。

 最後に、チャンピオンファンにとってはわかりやすいだろうひとつの例を挙げて、来週号のPUNISHER』をどのような心境で待つべきか、語りたいと思う。

 チャンピオンが誇るダーク・ヒーローの一人、秋山醤(ジャン)を思い浮かべて欲しい。
 ジャンが料理を作っている間、観客やライバルたちは例外無く、「おいおい、そんなのアリかよ」「一体どんな料理が出来るんだよ?」と狼狽する。
 第三者にはジャンがどんな料理を作ろうとしているのか、料理の過程を見ていてもさっぱり見当がつかない。みんな、自分の経験や知識に照らして、ああでもないこうでもない、と喧々諤々予想をたたかわせるが、ジャンの料理が完成した時、それらの予想はみんな裏切られる。
 ジャンがどんな料理人か知っている審査員は、彼が魔法使いであるコトを疑わない。
 彼らはみな、ジャンが今作っている料理の魔法に心を奪われ、ソレを食する瞬間を、文字通り涎を流しながら待ちわびているではないか。

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 ああ 彼女がぼくのこと 信じていてくれたらなぁ
 ベローナ 素敵な女の子
 ぼくのこと ボロボロにしてしまうか それともいっそ ぼくを連れて帰ってしまっておくれよ

 見つけたよ
 これがそう
 めぐりあえた
 これがそう これがそれなんだ 
 ぼくがずっと待ちわびていたものは

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コメント

全パ連「最後の良心」PAN太さん

>佐渡川先生は、便利なガイド役や、重宝なナレーションで、主人公たちをお手軽に「世界の核心」に連れて行く、と言う、「横着な手法」を今まで拒否してきたように私には感じられる。

佐渡川先生の「新しいものに果敢に挑戦する姿勢」は俺も理解するのですが、その具体的な「方法論」には、疑問が沢山あります。

「まだ始まったばかり」なのか「もう16話」なのか、意見は分かれるところですが、お互いしっかりとこのPUNISHERという世界を同時体験したいですね。

PAN太さんの記事を読んでいると、PUNISHERという作品が持つ奥深さに驚かされます。

その一方で、少年漫画が、そこまで奥深い必要があるのか?という疑問も出てきます。

PUNISHERという作品に対する見方は俺とPAN太さんで180度違うのですが、これからも遠慮なくお互いの意見を交換できたらいいですね。

今後も立場は違いますが、PUNISHER道をお互い極めましょう。

投稿: 人面犬 | 2008年6月 1日 (日) 20時41分

 人面犬さん

 私、「最後」ちゃいますよw 
 全パ連の会員は、『PUNISHER』という作品に期待し、素敵な作品になって欲しい、と願っている点ではみな同じ。
 PUNISHER道は修羅の道。
 この道は、まだ誰も通ったことの無い道ですもの。私たちみんな、迷いもします。これからも共に歩んでいきましょう。
 
 私の文章は、人によっては、コレは批評ではなく、もはや「信仰の告白」としか見えないかもしれません。
 思わせぶりな書き方をしているので、「奥深い」ように見えるかもしれませんが、実は『PUNISHER』と言う作品世界は、もっとシンプルな世界かもしれません。もしも佐渡川先生がこのブログをご覧になるようなコトがあったら、「そりゃあ考え過ぎだ」と笑われるような気もしていますw

 ワンダーの登場によって、私がこういう心境に達するコトが出来たのは、実は、人面犬さんからインスパイアされた部分が大きく働いていると思います。不思議に思われるかもしれませんがw そのへんはまた今度じっくりと説明できたら…と思います。

 『PUNISHER』はまだまだ続きます。物語が少しずつ動いていくにつれて、私たちの感想も形を変えていくコトでしょう。
 
 半年後には、みんなして、
 「今週もPUNISHER面白かったよ!」
 「最後に出てきたワンダーピンクって、絶対スキ様だよね」
 「相変わらずやってくれるぜ佐渡川先生!」
 と、言い合えるようになっていたりして…
 (あっ、人面犬さんが頭を抱えているのが目に見えるようだっ)

投稿: PAN太 | 2008年6月 3日 (火) 02時53分

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